4年だったか、5年だったか、あるときまでは、セックスってこんなふうだったなっていう、記憶というか、肌に残ったカスが、におって、今よりはもうすこしオナニーがはかどっていた。

イメージに説得力があった。根拠があった。


その残りカスが、あるとき、フッっと消えて、

ほんとうにあったのかもわからなくなるくらいに、思い出せなくなった。

その記憶がかつてあったことはおろか、その体験を自分がしたこと自体が疑わしいくらい。

「記憶が消えた」というより、「セックスをしたことがない」という状態に、リセットされた感覚。


童貞には、「セカンド」というものがあるという噂を耳にしたことがあったけれど、これがまさにそれなのか。

ぼくの理性的な価値観では、童貞であること自体に悲観をしないのだけれど、なんというかそのー、、、

つまりオナニーの虚無感が増したんです。

オナニーそのものが、本来虚無虚無しいもので、たとえセックスの感覚を体が覚えていることで、はかどったとしても、事後はやっぱり虚無感がすさまじい。

そんな虚無行為を、かつて支えてくれていたセックスの記憶無くするのだから、それはもう底のない淵に落ちていくような寒気に襲われる。


となると、性的欲求を簡易的に処理する方法として、オナニーは不適切なのではないかという気さえする。

デメリットが、メリットを大きく、とてつもなく大きく上回るから。

...ちょっと、考えるよ。

どうしようかな。

どーしたらいいんだろ。